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FCAがロンドンの違法なピアツーピア暗号資産取引を摘発:行動日は9月10日、公表日は9月17日
2026年9月17日、英国金融行為監督機構(FCA)は、HMRC、ロンドン警視庁とともに9月10日にロンドン市内の3か所に対して行動を取り、違法の疑いのあるピアツーピア暗号資産取引を摘発したと公表しました。本稿はFCAの2件のプレスリリースとFirm Checkerの説明ページに基づき、登録義務がなぜ事業として行う者にしか及ばないのか、個人間の換金という但し書き、そして消費者向け確認ツール自体の限界を整理します。
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2026年9月17日、英国金融行為監督機構(Financial Conduct Authority、FCA)は、英国歳入関税庁(HM Revenue & Customs、HMRC)、ロンドン警視庁(Metropolitan Police Service)とともに、ロンドンの違法なピアツーピア(peer-to-peer、個人間の)暗号資産取引に対して再び行動を取ったと公表しました。プレスリリースの「編集者向け注記」には、実際の行動日は7日前の2026年9月10日だったと明記されています。行動はロンドン市内の3か所、違法なピアツーピア暗号資産取引を行っている疑いのある拠点を対象とし、いずれも停止命令(cease and desist)の通知書を受け取り、疑いのある違法な暗号資産事業を停止するよう求められました。FCAは拠点の住所や事業者名を公表しておらず、プレスリリースにもこの行動で逮捕、起訴、処分を受けた者がいるとは書かれていません。
本稿は2026年9月18日に確認したもので、今回の行動に関するFCAのプレスリリース、今年4月の同種の行動に関するFCAのプレスリリース、そしてFirm Checkerの説明ページを読んでいます。当サイトはFirm Checkerを使っていかなる事業者も検索しておらず、3か所の身元も確認しておらず、実地の検証も行っていません。本稿は英国の当局による執行と登録の制度を説明するものであり、いかなる事業者についても評価せず、投資や法律の助言も提供しません。プレスリリースが公表していない詳細については、本稿では一切推測しません。
何が起きたのか:3か所が停止命令の通知書を受け取った
今回の行動の法的根拠は、英国の2017年マネーロンダリング・テロ資金供与及び資金移転(支払人情報)規則(Money Laundering, Terrorist Financing and Transfer of Funds (Information on the Payer) Regulations 2017、以下「MLRs 2017」)です。FCAは、今回はHMRC、ロンドン警視庁と協力して執行したと述べています。
プレスリリースには、この3か所の業態、住所、経営者の身元は書かれておらず、今回の行動に関しても逮捕、起訴、処分については触れられておらず、あるのは停止命令の通知書のみです。使われている表現は「疑いのある」(suspected)であり、本稿はそのため「違法な事業者3社を摘発した」とは書きません。
FCAは、今回の行動は2026年4月に違法なピアツーピア暗号資産取引事業者に対して取った行動に続くものであり、その際に集められた証拠は現在、刑事捜査やその他の執行措置を支えるために使われているとしています。FCAの執行・市場監督担当エグゼクティブ・ディレクターは、違法な暗号資産活動を今後も追跡し、解体していくと述べています。ロンドン警視庁のある警察官も、暗号通貨の複雑さと資金が複数の管轄区域を越えて移動する速さが、捜査に引き続き課題をもたらしていると述べています。これらは各機関自身の発言であり、本稿の評価ではありません。
なぜ違法にあたるのか:登録は義務であり、登録数はゼロ
FCAはプレスリリースの中でピアツーピア取引を自ら定義しています。個人同士が直接暗号資産を売買することがピアツーピア取引であり、英国で事業としてこれを行う者は適切な登録を取得しなければなりません。FCAは続けてその理由を説明しています。事業として営みながら登録していないピアツーピア暗号資産取引業者は、犯罪者が不正資金を移転・洗浄する経路になり得ます。なぜなら、彼らはFCAの登録制度の外で活動しており、マネーロンダリングの検知・防止のための管理をすり抜けているからです。
鍵となる数字はゼロです。今回と4月、両方のプレスリリースに同じ一文が書かれています。英国には現在、FCAに登録されたピアツーピア暗号資産事業者は1社もない、というものです。言い換えると、プレスリリースが今の時点で述べているところによれば、事業としてこの種の取引を営む業者で登録されている者は1社もありません。
プレスリリースには、英国全体でMLRs 2017に基づき登録を完了している暗号資産事業者が何社あるかは書かれておらず、ピアツーピアというカテゴリーがゼロであることだけが述べられています。本稿もFCAの登録名簿を自分で数えることはしません。名簿は随時更新されるものであり、数えた数字は確認した時点のスナップショットにすぎず、プレスリリース自体が書いた事実ではないためです。
| 状況 | 英国の現行規則 | FCAプレスリリースの説明 |
|---|---|---|
| 個人の立場で行うピアツーピア取引 | FCAへの登録は不要 | 2026年5月18日のプレスリリース改訂時に但し書きを追加 |
| 事業としてのピアツーピア暗号資産取引 | FCAへの登録が必要 | 現在の登録数はゼロ |
| 事業として営みながら未登録 | MLRs 2017により違法となり得る | 今回3か所すべてが通知書を受領 |
| マネーロンダリング防止・金融プロモーション以外の一般的な暗号資産活動 | 大部分が未規制 | この状態は2027年10月まで続く |
| 事業者が登録済みかどうかの確認 | 金融事業者はほぼすべてが認可または登録を要する | Firm Checkerの利用を推奨。確認できない事項はツールの説明ページを参照 |
「事業として」という言葉:個人間の換金は登録不要
ここが本稿の中で最も誤解されやすい部分です。FCAは4月のプレスリリース公表後、2026年5月18日に第2段落をさかのぼって改訂しました。ページ上部の更新説明には、その段落を次のように変更したと書かれています。「英国で事業としてこの活動を行う者は適切な登録が必要であり、登録なしに行えば違法となる。個人の立場で行うピアツーピア取引はFCAへの登録を必要としない。」この但し書きは9月のプレスリリースには繰り返し書かれていませんが、登録義務を述べる2つの文は両方のプレスリリースで一字一句同じであり、いずれも「事業として」行う者に限定されています。
つまりFCAが対象としているのは、「事業として」営みながら登録していないピアツーピア暗号資産取引であり、2人がたまに一度換金するようなことではありません。プレスリリースは「事業として」の判断基準、例えば頻度、金額、不特定多数への勧誘の有無などを定義しておらず、本稿もFCAに代わってこの定義を補うことはしません。読者が自分の状況が「事業として」の範囲に入るかどうかを判断するには、別途、資格を持つ専門家の助言またはFCA自身に確認する必要があります。
以下は編集部が作成した例であり、実地の検証ではありません。仮に、それぞれ異なる暗号資産を持つ2人の友人が、私的に話し合って一度だけ交換したとします。これは個人間のピアツーピア取引であり、FCAの文言はこれを登録義務に含めていません。しかし、ある人が特定の場所で不特定多数の人から現金を受け取り暗号資産と交換することを常習的に行っている場合、それはプレスリリースの言う「事業として」に近く、そのような取引者が登録していなければ、今回の行動が対象とするような相手にあたります。当サイトは「安全に対面で換金する方法」のようなハウツーは提供せず、個別の事案について判断も下しません。
2回の行動の違いと、現在の規制範囲
9月の今回と4月の前回とでは、規模も協力した警察組織も異なります。4月のプレスリリースは2026年4月22日に公表され、協力組織はHMRCと南西地域組織犯罪対策ユニット(South West Regional Organised Crime Unit、SWROCU)で、8か所を対象としました。9月の今回もHMRCは引き続き関わっていますが、協力する警察組織はロンドン警視庁に代わり、対象は3か所です。両方とも停止命令の通知書を発行し、4月の行動ではさらに現地検査も行われました。両方のプレスリリースとも、これら2回の行動で逮捕、起訴、処分を受けた者がいるとは書かれていません。
FCAは両方のプレスリリースで、自らの過去の執行実績に触れており、「including」(含む)という例示の書き方を用いていて、完全な一覧ではありません。9月のプレスリリースが挙げているのは、違法な暗号資産ATMネットワークの運営者を起訴した件、および違法な暗号資産取引所を運営していた疑いのある2名の逮捕を支援した件です。4月のプレスリリースは、後者が2024年6月にロンドン警視庁と協力して行われたものだと明記しています。
この2回の行動が実行できた理由は、MLRs 2017の登録規定がすでに施行されているためですが、英国における暗号資産の規制範囲自体はまだ拡大の途上にあります。FCAは今回のプレスリリースの編集者向け注記で次のように述べています。暗号資産はハイリスクな投資であり、マネーロンダリング防止と金融プロモーションを除き、英国では大部分が未規制のままであり、この状態は2027年10月まで続く、と。つまり2027年10月までは、FCAがピアツーピア暗号資産取引に対して執行に使える根拠は、主に今回用いられたMLRs 2017の登録規定ということになります。
一般の人にできること:まず登録を確認し、ツールの限界を覚えておく
9月のプレスリリースが消費者に示す行動の助言は1つだけです。FCAのFirm Checker(事業者確認ツール)を使って、ある暗号資産事業者が正しく登録されているかを確認することです。Firm Checker自身の説明ページには、このツールの用途は、ある金融事業者がFCAの認可を受けているか、あなたが求めるサービスを提供する許可を持っているかを調べることだと書かれています。FCAは同じページで、英国ではほぼすべての金融事業者がFCAの認可または登録を受けなければならないとも説明しています。
しかしFirm Checkerは自らの限界も明記しています。公式には、このツールでは金融サービス補償制度(Financial Services Compensation Scheme)や金融オンブズマンサービス(Financial Ombudsman Service)の保護が万一の際に必ず適用されるかどうかは確認できないと明言しており、利用者に対しても、その商品やサービスが自分のニーズに合っているかは自分自身で確認するようにと注意を促しています。FCAはまた、正しい許可を持つ認可済みの事業者を利用しても「すべてのリスクがなくなるわけではない」が、被害に遭うリスクは大きく減らせるとも説明しています。登録が確認できることは、安全の保証を意味しません。
この考え方はどの国にも応用できます。取引の前に、相手がどのような立場で規制を受けているか(個人か、事業として営んでいるか)、どのような登録や許可が確認できるか、そして何が確認できないかを、まず確かめることです。相手に店舗があるかどうかだけで判断するのではありません。本稿は英国の状況のみを扱い、台湾が同様の行動を取るかどうかは推測しません。台湾の現状と比較するには、別途、台湾の一次情報源で確認する必要があります。
よくある質問
今回の行動で逮捕や起訴をされた人はいますか。
プレスリリースには書かれていません。FCAのプレスリリースには、3か所すべてが停止命令の通知書を受け取ったとだけ書かれており、今回の行動で逮捕、起訴、処分を受けた者がいるとは書かれていません。同じプレスリリースでは別途FCAの過去の執行実績にも触れていますが、それは別の案件です。使われている表現は「疑いのある」(suspected)であり、有罪と認定されたわけではありません。
友人と私的に現金で暗号資産を一度交換しました。これは違法ですか。
FCAは2026年5月18日にプレスリリースを改訂した際、特に次の一文を加えました。個人の立場で行うピアツーピア取引はFCAへの登録を必要としない、というものです。FCAが対象としているのは「事業として」営みながら登録していないピアツーピア暗号資産取引であり、2人がたまに行う交換ではありません。ただしFCAは「事業として」の判断基準を具体的には定義していないため、個別の状況については別途、資格を持つ専門家の助言を受けることをお勧めします。
行動日は9月10日なのに、なぜ公表日は9月17日なのですか。
FCAは、実際に行動を取った日付をプレスリリース本文ではなく「編集者向け注記」の段落に書いています。今回の行動は2026年9月10日に行われ、FCAはその7日後の9月17日に対外的に公表しました。この2つは異なる日付です。
4月と9月の2回の行動は何が違うのですか。
4月は協力組織がHMRCと南西地域組織犯罪対策ユニットで、8か所を対象とし、プレスリリースは4月22日に公表された後、5月18日に改訂されました。9月の今回もHMRCは引き続き関わっていますが、協力する警察組織はロンドン警視庁に代わり、対象は3か所です。両方とも停止命令の通知書を発行し、4月の行動ではさらに現地検査も行われました。
英国では今、暗号資産は規制されているのですか、いないのですか。
FCAは、暗号資産はマネーロンダリング防止と金融プロモーションを除き、英国では大部分が未規制のままであり、この状態は2027年10月まで続くと説明しています。この2回の行動が用いた法的根拠は、マネーロンダリング防止の枠組みにあるMLRs 2017の登録規定であり、暗号資産に関する包括的な監督の枠組みではありません。
ある暗号資産事業者が登録されているかどうかは、どうやって確認すればよいですか。
今回のプレスリリースでFCAが消費者に示す助言は、Firm Checkerという確認ツールを使うことです。ただしFirm Checker自身も、金融サービス補償制度や金融オンブズマンサービスの保護が万一の際に必ず適用されるかは確認できないと明記しており、認可済みの事業者を利用しても「すべてのリスクがなくなるわけではなく」、被害に遭うリスクを大きく減らせるだけだとしています。登録が確認できることは、安全の保証を意味しません。
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