ライフスタイル

AIデータセンターへの反発がメイン州住民に広がる、上院選の争点に:The Verge報道

The Vergeによると、メイン州では、AIデータセンターが電気料金を押し上げ、資源を消費する一方で長期的な雇用を生まないとの懸念が広がり、上院選の争点になっている。選挙結果は上院の多数党を左右し、全米のデータセンターとAI政策にも影響する。

読了目安 7 分

AIデータセンターへの反発がメイン州住民に広がる、上院選の争点に:The Verge報道
画像:Mokaair (Original editorial artwork)

何が起きたのか

The Vergeによると、メイン州議会は今年4月、大規模データセンターの建設を州全体で一時停止する法案を可決した。成立すれば全米初となるはずだったが、ジャネット・ミルズ知事は10日後に拒否権を行使した。同報道は、これで論争が収まったわけではなく、州内の複数の町が一時的な禁止措置を採ったり、データセンター拡張の是非を11月の住民投票に委ねたりしていると伝えている。

The Vergeは、マサチューセッツ大学ローウェル校(UMass Lowell)とYouGovによる9月の世論調査を引用している。回答者の76%が自分の地域でのデータセンター建設に反対し、58%は強く反対していた。

同報道によれば、この選挙戦は米国で有権者1人あたりの支出が最も多い上院選になる見通しで、民主党は8,100万ドル、共和党は1億1,400万ドルを使う見込みだという。結果は上院でどちらの党が多数を握るかを左右し、連邦レベルのデータセンターとAI政策にも影響する。

なぜデータセンターが争点になったのか

The Vergeは、メイン州には安い土地、使われていない工業施設、豊富な水資源があるため、新しいデータセンターの標的になっていると述べている。政治献金を追跡するサイトTech Influence Watchを手がける研究者モリー・ホワイト氏は同メディアに対し、有権者はデータセンターを電気料金などの公共料金の上昇と結び付けており、多くのメイン州民は今年の秋、記録的な暖房用燃料価格にも直面していると語った。

雇用について、The Vergeは、経済研究によれば大半のデータセンターは建設完了後に純雇用をほとんど生まない、つまり全体の仕事の数はほぼ増えないと伝えている。メイン大学政治学科長のマーク・ブリューワー氏は同報道で、現状ではデータセンターの「雇用の部分は存在しない」と述べた。報道はまた、住民が所有構造の不透明さ、長期的な職の少なさ、農村地域から富が流出することを懸念していると記している。

候補者の立場と資金

The Vergeによると、メイン州選出の共和党上院議員スーザン・コリンズ氏はデータセンターとAIを概ね支持しつつ、案件ごとに評価すべきだとしている。上院歳出委員会の委員長として、メイン州中部の高性能コンピューティングセンターのために620万ドルの連邦予算も確保した。同報道はホワイト氏の追跡データを引用し、コリンズ氏がAIおよび暗号資産分野から325,644ドルの献金を受けたと伝えている。またForbesを引用し、夫名義で登録された、一家のAIおよびデータセンター関連投資は推定30万~80万ドルだとしている。

The Vergeによれば、民主党の対抗馬トロイ・ジャクソン氏が連邦選挙委員会(FEC)に提出した書類には、データセンター、AI、ビッグテック(巨大IT企業)との目立った関係は示されていない。立場はコリンズ氏に近く、AIとデータセンター開発に安全策を設けることを重視し、建設と運営で労働組合員の仕事を確保したいとしている。

The Verge報道をもとに整理した2候補の比較
項目コリンズ氏(共和党)ジャクソン氏(民主党)
データセンターへの立場概ね支持。ただし案件ごとの評価を主張安全策の整備を重視し、組合の仕事を求める
業界との関係AIと暗号資産分野から325,644ドルの献金を受けたと報道FEC書類にデータセンター、AI、ビッグテックとの目立った関係は示されていない
その他の報道ポイント中部の計算センターのため620万ドルの連邦予算を確保立場はコリンズ氏に近いと報道

なぜこの問題が注目されるのか

この報道は、AIを支える設備(AIインフラ)がテック業界だけの話題ではなく、地域の電気料金、水資源、雇用をめぐる政治的な議論にも関わっていることを示している。The Vergeはコルビー大学公共政策研究所のニコラス・ジェイコブズ所長の見方を引用し、メイン州の有権者、特に無党派層の多くが葛藤していると伝えている。地域社会を大切にして外部の人間を警戒する一方で、次の世代が手頃な暮らしと良い仕事を得られないことも心配しているという。

選挙資金について、The VergeはMaine Monitorの報道を引用し、10月中旬までに5,400万ドルがネガティブ広告(相手を攻撃する広告)に使われた、または使われる予定だと伝えている。そのほぼすべては、ビッグテックとデータセンター支持者が資金を出す外部の政治活動委員会(候補者陣営の外から資金を投じて選挙に影響を与える団体)によるものだ。ブリューワー氏はこれを、25年間メイン州政治を見てきた中で「最もネガティブな選挙戦」と呼ぶ一方、巨額の支出が農村部の有権者のデータセンター観を変えられるかには懐疑的だという。

よくある質問

メイン州では本当にデータセンターが禁止されたのですか?

州全体の禁止はありません。The Vergeによると、州議会は4月に州全体の一時停止法案を可決しましたが、ミルズ知事が10日後に拒否権を行使しました。複数の町が一時的な禁止措置を採ったり、住民投票に委ねたりしていると報じられています。

世論調査では民意はどうなっていますか?

The Vergeが引用した9月のマサチューセッツ大学ローウェル校(UMass Lowell)とYouGovの調査では、回答者の76%が自分の地域でのデータセンター建設に反対し、58%が強く反対しました。

データセンターは多くの雇用を生みますか?

The Vergeによると、経済研究では大半のデータセンターは建設完了後に純雇用をほとんど生みません。ブリューワー氏も、現状では雇用の部分は存在しないと述べています。

この選挙はなぜメイン州だけの問題ではないのですか?

The Vergeは、選挙結果が上院でどちらの党が多数を握るかを左右し、連邦レベルのデータセンターとAI政策にも影響すると指摘しています。それが全米のデータセンター建設にも関わります。

このトピックの最新ニュースを見る

出典

ライフスタイル