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Cloudflare、AI Gateway「Auto Router」のパブリックベータを公開:リクエストごとにAIモデルを自動選択

Cloudflareは2026年9月30日、タスクの難易度に応じてAIモデルを自動で選び、企業のAI支出を抑えられるとするAuto Routerのパブリックベータ(公開テスト版)を発表した。社内でAIを使う企業や従業員に関わる内容で、本記事ではその仕組み、Cloudflare自社のテストデータ、利用者への影響を整理する。

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Cloudflare、AI Gateway「Auto Router」のパブリックベータを公開:リクエストごとにAIモデルを自動選択
画像:Mokaair (Original editorial artwork)

何が起きたのか

Cloudflareは2026年9月30日、公式ブログで、自社サービスのAI Gatewayを通じてAuto Routerをパブリックベータとして提供すると発表した。AI Gatewayは、組織内のユーザーやエージェント、ツールからのAIへのリクエストがすべて通る窓口で、Cloudflareはこれを企業が社内のAI利用を管理する仕組みと位置づけている。Cloudflareの説明によると、開発者がモデルをcloudflare/autoに設定するだけで、Auto Routerは各リクエストを、そのタスクに十分対応できるモデルへ自動的に振り分ける。エンドユーザーは、どのモデルを使うべきかを自分で判断する必要がなくなる。

Cloudflareは提供の理由を次のように説明している。OpenCode、Claude Code、Codexなど多くのツールでは、ユーザーが依然として手動でモデルを選んでいる。その結果、作業に対して性能が高すぎるモデルを使ってしまうことが多いという。Cloudflareは、OpenCodeを通じた社内利用の初期結果として、OpenAI SolやAnthropic Claude Opusなどのフロンティアモデル(各社の最先端の高性能モデル)だけを使う場合と比べ、コストを最大30%削減できたとしている。またCloudflareは、Auto Routerはベータ期間中は無料だと述べている。

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Cloudflareが公表したテストデータ

Cloudflareは社内の汎用ナレッジワーク・ベンチマーク(事務・知的作業の性能を測る試験)で、cloudflare/auto、OpenAI GPT-6 Sol、Anthropic Claude Opus 5.5を比較した。Cloudflareによると、このテストでは模擬のワークスペースツールを使い、メール、カレンダー、Slack、ファイル、出張、財務などの日常業務を扱った。タスクは計97件で、各モデルがタスクごとに3回ずつ試行した。

出典:Cloudflare公式ブログで公表された社内ベンチマーク結果。独立したテストではない。
モデル成功回数成功率(95%信頼区間)総コスト成功1回あたりのコスト
cloudflare/auto252/29186.6%(+6.2/−6.9ポイント)2.10ドル0.0084ドル
Anthropic Claude Opus 5.5281/29196.6%(+2.7/−3.8ポイント)5.91ドル0.0210ドル
OpenAI GPT-6 Sol245/29184.2%(+6.5/−6.9ポイント)2.64ドル0.0108ドル

CloudflareはAuto Routerのコストが、Solの約80%、Opusの約35%だとしている。同じ表からは、成功率が3つの中で最も高いのはClaude Opus 5.5で、Auto Routerの強みは主にコスト面にあることも読み取れる。さらにCloudflareは、トークン(AIが文章を処理する単位で、料金計算の基準にもなる)の単価が低くても、全体のコストが低いとは限らないと指摘している。一見安いモデルでも、タスクを終えるまでに多くのトークンを消費する可能性があるためだ。

Auto Routerの仕組み

Cloudflareの説明によると、処理はおおむね次のステップに分かれる。

  1. 使えるモデルの絞り込み:AI Gatewayは、リクエストの形式や実行方式に対応していないモデルを除外する。認証情報、課金設定、アクセス制御ポリシー、支出上限も考慮する。障害が起きている間は、正常に動いていないプロバイダーやモデルも候補から外す。
  2. リクエストの分類:会話を、Cloudflareのネットワーク上でAIモデルを動かすサービスWorkers AIで稼働する分類モデルに送る。分類モデルは、コーディングや調査など14のタスクカテゴリーのどれに当たるかを確率で判定する。さらに、複雑さ、曖昧さ、重要度、それまでの会話への依存度を1〜5で評価する。
  3. 最適なモデルの選択:Cloudflareによると、ルーターは「効用=期待品質−適応的コストペナルティ」に基づいてモデルを選ぶ。つまり、見込まれる品質から、状況に応じて重みが変わる費用を差し引いて比べる。単純なリクエストでは価格が重視され、難易度が上がるほど費用の重みは下がる。
  4. キャッシュのコストの考慮:キャッシュとは、それまでの会話内容を再利用できるよう保存しておく仕組みで、モデルを切り替えると作り直しが必要になる。そのため、同じターン(ユーザーの1回の入力に対する一連の処理)の中では同じモデルを使い続ける傾向がある。ターンをまたぐ場合は、会話が長いほど大きくなる切り替えペナルティを適用する。
  5. 予備の切り替え:ルーターは順位付けした候補リストを返す。第一候補のモデルのプロバイダーがリクエストを処理できない場合、AI Gatewayは条件を満たす別のモデルに切り替えられる。

Cloudflareによると、新しいモデルが登場しても分類モデルの再学習は不要で、そのモデルのベンチマークに基づく重みをスコアリング行列(モデルごとの評価表)に追加するだけでよい。

一般の読者と企業への実際の影響

会社員にとっての意味は、社内のAIアシスタントで使うモデルを自分で決めるのではなく、システムがタスクの難易度に応じて自動で割り当てるようになるかもしれない点にある。メールの要約のような簡単な作業は小さめのモデルに任せ、複雑な作業には引き続き高性能なモデルを使える可能性がある。AI予算を管理する企業に向けたCloudflareの主張は、従業員の高性能モデル利用を制限せずに、不要な支出を自動的に減らせるというものだ。ただし効果は各組織の実際の業務内容に左右され、現時点ではCloudflare自身による発表データしかない。

今後の計画

  • cloudflare/autoで利用できるモデルの拡充
  • モデルの絞り込み時に、データを保存しない(ゼロデータ保持)要件を考慮
  • モデル選択時にプロバイダーの処理能力の余裕を考慮
  • リクエストごとに適切な推論レベルを選択
  • Responses APIとWebSocketsの完全サポート
  • 構造化された意思決定モデルを第1段階の分類器として使うことの検討
  • コストとのトレードオフを考慮せず、最高の期待品質のみを追求するcloudflare/auto-bestの提供

よくある質問

Auto Routerとは何ですか?

Cloudflareによると、AI Gatewayの機能の一つです。モデルをcloudflare/autoに設定すると、各リクエストを、そのタスクに十分対応できるモデルへ自動的に振り分けます。

本当に30%節約できるのですか?

Cloudflareは、社内の初期結果でフロンティアモデルだけを使う場合と比べて最大30%削減できたとしています。これはベンダー自身が発表した上限値で、第三者による検証結果ではありません。実際の効果は利用状況によって異なります。

モデルの自動選択で品質は下がりませんか?

Cloudflareが公表したテストでは、Auto Routerの成功率は86.6%でした。GPT-6 Solの84.2%を上回りましたが、Claude Opus 5.5の96.6%には及びませんでした。Cloudflareは、コストを考慮せず最高品質のみを追求するcloudflare/auto-bestの提供も計画しています。

現在は有料ですか?

Cloudflareによると、Auto Routerはベータ期間中は無料です。ベータ終了後の料金体系について、Cloudflareは同記事で説明していません。

モデルの切り替えでコストが無駄になりませんか?

Cloudflareによると、Auto Routerは、会話内容を保存しておくキャッシュの読み書きコストを計算に入れています。同じターンの中では同じモデルを使い続ける傾向があり、ターンをまたぐ場合は、会話が長いほど切り替えのハードルを高くします。

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