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OpenAIとBroadcomがJalapeñoチップを発表:公式が語る段階、役割分担、そしてまだ発表されていないこと

2026年6月24日、OpenAIとBroadcomはカスタム推論チップ「Jalapeño」を共同発表し、公式はこれをOpenAI初の「Intelligence Processor」と呼んでいます。本記事は両社の公式記事全文に基づき、公式発表によればこのチップはまだエンジニアリングサンプルによる実験室テストの段階で、9か月でtape-outを終えたこと、導入時期や性能数値はあくまで企業側の説明であること、そして2025年に発表された100億ワット(10ギガワット)規模の協業とは別物として扱うべき理由を説明します。

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オリジナルイラスト:左側の吹き出しが言語モデルを表し、そこから右へ伸びる線が中央のチップにつながっている。チップの周囲は破線の枠で囲まれ、まだ実験室でのテスト段階にあり、最終決定していないことを示す。さらに破線の矢印が右側の、破線の枠で描かれたラックを指し、これはまだ計画段階の導入を表す。
画像:Mokaair (© Mokaair)

2026年6月24日、OpenAIと半導体大手Broadcomは、Jalapeñoと呼ばれるカスタムチップを共同発表しました。両社の公式記事はいずれも、これをOpenAI初の「Intelligence Processor」と呼び、用途はモデルの「推論」(ユーザーが質問を送ってからモデルが回答を生成するまでの計算処理)だとしています。両社の見出しは完全には一致しません。Broadcomは「LLM-Optimized Intelligence Processor」と書き、OpenAI自身は「LLM-optimized inference chip」と書いています。両記事とも、本文中に「GPU」という語は一度も登場しません。

本記事は2026年9月18日に、Broadcomの投資家向けサイトに掲載されたプレスリリース全文、同日にOpenAI公式サイトで公開された原文全文、そして2025年10月13日にBroadcomが発表した以前の協業に関するプレスリリース全文を確認したうえで執筆しています。当サイトは実地の検証を行っておらず、購入や投資を勧めるものでもありません。以下はすべて、この3本の公式記事に書かれている内容であり、その大半はまだ検証可能な数値を伴っていません。

6月24日の共同発表:GPUとは呼ばれないチップ

両社が発表した文章は、実のところ大部分が同じ原稿です。冒頭はどちらも「OpenAIが描く大規模言語モデル推論の未来像を軸に設計されたアクセラレータ」だと書いており、Jalapeñoは「あらゆる大規模言語モデルに対応できるよう柔軟に設計されている」と両記事とも述べたうえで、これは業界全体の現在および将来のAIモデル推論ニーズに関するOpenAIの理解に基づいて設計されたものだとしています。両記事とも、JalapeñoがOpenAI以外の企業に販売・貸与・提供されるとは書いておらず、第三者の顧客名も一切挙げていません。

公式記事には引き渡しの場面が描かれています。JalapeñoはBroadcomの社長兼CEOであるHock Tanと、もう一人の幹部Charlie Kawwasから、OpenAIのCEOであるSam Altmanとプレジデントを務めるGreg Brockmanへと手渡されました。Brockmanの発言は二つに分かれています。「世界はコンピューティング能力によって動く経済へと向かっています」、そして「Jalapeñoは、コンピューティング能力をより豊富にし、AIをより速く、より信頼でき、個人にとっても企業にとってもより手頃な価格にするという、私たちの長期的なフルスタックインフラ戦略の一部です……」

誰がどこを担当したのか:OpenAIの設計、Broadcomのシリコンとネットワーキング

公式が説明する役割分担は次のとおりです。OpenAIは大規模言語モデルの計算特性に関する自社の理解に基づき、チップアーキテクチャをゼロから設計し、BroadcomとCelesticaがこのプラットフォームを共に「産業化」したといいます。両記事の末尾ではこの二社をさらに分けて説明しています。Broadcomはシリコン実装、ネットワーキングおよび接続技術を提供し(挙げられている製品はTomahawkネットワークシリコン一つのみ)、Celesticaは基板、ラック、システムに関する専門知識を提供したとしています。これはあくまで公式による自社の役割説明であり、当サイトが独自に検証することはできません。

注意しておきたいのは、本記事が引用する3本の公式記事すべてにおいて、Celesticaの役割はBroadcomとOpenAI側からの一方的な説明にとどまっている点です。3本のうちどの記事にも、Celestica自身の発言は一つも含まれておらず、本記事もCelestica自身による説明を裏付けとして引用していません。

両公式記事はまた、設計工程の一部を高速化・最適化するためにOpenAI自身のモデルを利用したとも述べており、「ユーザーに提供されているのと同じモデル群が、将来のモデルを動かすための基盤の改善を助けている」としています。これは両社自身の説明であり、外部から検証する手段はありません。

BroadcomとOpenAIがそれぞれ2026年6月24日に発表した公式記事をもとに作成。確認日:2026年9月18日。
関係者公式の役割説明発表原文の表現
OpenAIモデルとサービスシステムの要件に基づき、チップアーキテクチャをゼロから設計designed the chip from scratch
Broadcomシリコン実装、ネットワーキングおよび接続技術(Tomahawkネットワークシリコンを含む)silicon implementation, networking, and connectivity technologies
Celestica基板、ラック、システムに関する専門知識(BroadcomとOpenAIのみが説明)board, rack and system expertise

現在の段階:9か月でtape-outを完了、実験室でモデルを動かしている

両公式記事には、似ているようで実は異なる二つの表現があります。箇条書きの要点には「設計から量産(production)までわずか9か月」とある一方、本文には「最初の設計から量産前工程(tape-out)までわずか9か月」と書かれています。tape-outとは、チップの設計が確定し製造に引き渡される段階を指し、すでに量産・出荷されていることを意味しません。両記事の小見出しもどちらも「Nine-month tape-out」となっています。本文と小見出しに従えば、両社が述べているのは9か月以内にtape-outを終えたということであり、9か月以内に量産したということではありません。この数字自体も両社の自己申告です。

両社によれば、現在はエンジニアリングサンプルが実験室で、量産目標の周波数と消費電力によりGPT-5.3-Codex-Sparkを含む機械学習の処理を実行している段階だといいます。両記事ともここで記述を止めており、このサンプルと出荷製品との関係や、出荷・発売の時期については一切触れていません。性能についても現時点では方向性を示す表現にとどまります。OpenAIは自ら「最終的な性能はまだ計測中」だとしたうえで、初期テストではワットあたりの性能が「既存の最高水準を大きく上回る」と示されているとしていますが、「既存の最高水準」が何を指すかは定義されておらず、特定のメーカー名も挙げられていません。詳細な技術レポートは「今後数か月のうちに」公表されるとしています。

「史上最速のASIC開発サイクル」という同じ主張について、両社は異なる留保表現を用いています。Broadcomの表現は「高性能先進半導体においてこれまでに達成された中で最速かもしれない(what may be)ASIC開発サイクル」であり、同じ一文についてOpenAI自身の記事では「私たちが信じるところでは(what we believe to be)」となっています。どちらも留保付きの表現であり、本記事は原文どおり両方を並べて示します。

4コマ図解:共同発表、設計確定、実験室テスト、導入計画
BroadcomとOpenAIによる2026年6月24日の共同発表をもとに作成:発表から導入計画までの4段階。確認日:2026年9月18日。 · 画像:Mokaair (© Mokaair)

導入時期とそれより前の協業:二つの発表を混同しない

両公式記事とも、導入規模については「gigawatt scale(ギガワット級)」としか記述しておらず、具体的なギガワット数、チップの個数、データセンターの所在地は書かれていません。公式の説明では、この複数世代にわたるプラットフォームは「2026年末までの初期導入を目指して設計されており、その後数年かけて拡大していく」とされています。Hock Tanはデータセンターのパートナーの一社としてMicrosoftの名を挙げており、その言葉をそのまま引くと「2026年からMicrosoftおよびその他のパートナーとともにギガワット規模のデータセンターを導入する」としています。Microsoftは両公式記事の中で名前が挙げられている唯一のデータセンターパートナーであり、それ以外は一律「その他のパートナー」と書かれています。

この導入時期の記述には見落としやすい注記が一つあります。Broadcomはプレスリリースの末尾に、米国証券法に基づく「将来予測に関する記述」の注記を置き、その中で「ギガワット規模のデータセンターの導入」を将来予測に関する記述の一つとして明確に位置づけたうえで、「これらの記述に過度に依拠すべきではない」と明記しています。つまりこの導入時期は、Broadcom自身がまだ実現しておらず、変更される可能性もあると認めている計画にすぎません。

もう一つ分けて考えるべきなのが、2025年10月13日のそれより前の発表です。当時両社は、100億ワット(10ギガワット)規模のカスタムAIアクセラレータを共同で導入すると発表し、Broadcomによるラック導入は「2026年後半の開始、2029年末までの完了を目標とする」と明記、両社はラック導入に関するterm sheet(意向書)にすでに署名していました。この発表ではまた、OpenAIが当時「すでに週間アクティブユーザー数8億人超に成長していた」とも書かれています。2026年6月のこの記事は「100億ワット」という数字を繰り返しておらず、Jalapeñoがそのアクセラレータであるとも書いていません。これらは別々の発表であり、そのまま同一視すべきではありません。

この発表をどう読むか:何が事実で、何が企業側の発言か

この発表には性質の異なる3種類の内容が混在しています。一つは外部から確認できる行動の事実で、例えば両社が6月24日にそれぞれ公式記事を発表したことや、両記事の表現がどこで異なるかといった点です。もう一つは社内でしか把握できず外部からは検証できない説明で、例えば9か月でのtape-out完了、実験室でのエンジニアリングサンプルの稼働、「ワットあたりの性能が既存の最高水準を大きく上回る」、「週間アクティブユーザー8億人超」といった内容です。そして三つ目は将来に関する計画であり、導入時期などがこれにあたりますが、これについてはBroadcom自身も過度に依拠しないよう注意を促しています。

両公式記事には、過剰に解釈されがちな一文があります。「AIがエンジニアによるより良いチップのより迅速な設計を助けられるなら、業界全体の計算コストを引き下げ、先進的なAIへのアクセスをより多くの人に広げる一助となり得る」というものです。この一文は「もし」で始まり、業界全体について述べており、具体的な数字や割合は一切付いておらず、Jalapeño自体がどれだけ安くなるかも述べていません。2026年9月18日時点で確認した限り、両記事にコスト削減の割合を示す記述は一切登場しません。

本記事が2026年9月18日まで確認した限り、両公式記事ともチップの製造プロセス、製造を担うファウンドリ、メモリの種類と容量、消費電力(ワット数)については記載しておらず、NVIDIAや他社のチップとの直接比較も一切行っていません。OpenAIの記事には日付のない条件文が一つあり、コスト・速度・信頼性の改善は「より速いChatGPTの回答」や「構築コストがより低いAPI製品」などとして「現れ得る(can show up as)」としています。それ以外に、ユーザーがいつ違いを感じられるかを述べた文は一つもありません。

よくある質問

Jalapeñoというチップは今すぐ購入やレンタルができますか?

両公式記事とも、このチップがOpenAI以外の企業に販売・貸与・提供されるとは書いておらず、第三者の顧客名や購入方法についても一切触れていません。公式の説明によれば、現在の状態はエンジニアリングサンプルが実験室で機械学習の処理を実行している段階であり、6月24日付の両公式記事とも出荷や発売の時期は記載していません。

JalapeñoはNVIDIAのチップより速いのですか?どれくらい安いのですか?

公式記事はこの問いに答えていません。OpenAIとBroadcomは、Jalapeñoのワットあたりの性能が「既存の最高水準を大きく上回る」としか述べておらず、「既存の最高水準」がどのチップを指すのかも定義しておらず、NVIDIAや他のメーカーの名前も挙げていません。テストの数値や価格比較も公表されていません。公式によれば、詳細な性能に関する技術レポートは今後数か月のうちに公表されるとしています。

これはOpenAIが今後、他社のチップを使わず自社チップだけを使うということですか?

両公式記事ともそのようには書いていません。この発表は、OpenAIが自社モデルの推論向けにカスタムチップを設計したという内容であり、OpenAIが他の供給元のチップや計算基盤の利用をやめるとは述べていません。この点について公式記事はまったく触れていません。

Jalapeñoは、2025年の「100億ワット」の協業と同じものですか?

同じ発表ではありません。2025年10月13日の発表は、100億ワット規模のカスタムAIアクセラレータを導入する複数年にわたる協業についてのもので、そのうちBroadcomによるラック導入は「2026年後半の開始、2029年末までの完了」を目標としています。2026年6月24日のこの発表はJalapeñoチップそのものを発表したものですが、その100億ワットという数字は繰り返しておらず、Jalapeñoがその協業で導入されるアクセラレータであるとも明言していません。両者は別物として捉えるべきであり、自己判断で同一視すべきではありません。

これによって私が使っているChatGPTは速くなったり安くなったりしますか?

OpenAIの記事には条件文が一つあり、コスト・速度・信頼性のあらゆる改善は「より速いChatGPTの回答」、「待ち時間が減るCodexタスク」、「構築コストがより低いAPI製品」などとして「現れ得る(can show up as)」としています。ただしこの一文には日付も割合も保証も付いておらず、それがJalapeñoによるものだとも述べていません。公式によれば、Jalapeñoは現在も実験室でのテスト段階にあり、実際のサービスへの導入までにはまだ計画段階の期間が残っています。

「Intelligence Processor」とは何ですか。一般的なGPUとは何が違いますか?

これはBroadcomとOpenAIがJalapeñoのために選んだ公式な呼び方です。2026年9月18日時点で確認した限り、両公式記事の本文に「GPU」という語は一度も登場しません。公式の説明では、このチップは現代の大規模言語モデルの推論向けに設計されたものであり、過去の他のAIワークロード向けに作られたものを転用した汎用アクセラレータではないとされています。ただし公式記事は製造プロセスやトランジスタ数などの技術仕様を公表していないため、本記事ではハードウェア設計上GPUと具体的に何が違うのかについて、これ以上比較することはできません。

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